MA米の話を放り出した日、ゆきちゃんがこんなことを言った。
『私たちのやってる事って本当に正しいのか分かんなくなる』
表っ面で言えば【地産地消・安心安全の食材提供】のことだ。
極端に言えば、誰だって高付加価値・差別化商品として国産だの低農薬だの有機だのと単価の高い農産物を集めては商売をしている。俺たちを含めて。
悪いことじゃないし、事実消費者もそれを求めている。
でも、それとは別に俺たちの目指すものはもっと先にある。
本当の意味で【地産地消・安心安全の食材提供】を謳うなら、農作物の生産現場を見なくては始まらないし、生産者と話をしなければ本当の価値なんて見えてこない。電話とFAXで注文のやり取りだけしてたって消費者のニーズなんて共有出来るわけがない。ましてや薄っぺらい決まり文句以上の事を消費者に訴えることなんて出来ない。だから問屋任せで商品を集めたりしない。流行り廃りで商品の選定はしない。国産だからといって高い値段を付けるんじゃない。志し高い生産者と組んで、常に美味いものを作ってもらい、それに応える為に適正な価値を表現していきたいのだ。今生きている信州の地で。
俺たちは例えば大豆種子ひとつぶから胃袋に入るまでの物語を作りあげたいと考えている。途中の売り買いで物語は完結させない。そして我々はあくまで『加工・販売部門』に過ぎず、1年のうち数ヶ月を費やす生産者が主役になってもらう。最終的にはお客様を共有する取組みなのだ。
ただ、疑心暗鬼になるのも分からんではない
農作物の輸入は国内では賄えないとか、気候的に耕作に不向きだとか、納得いく背景があったはずだ。外国産の安い原料でも、品質を含めて消費者ニーズに適った商品が売れていたことには問題がなかった。
しかし、このところどうだろう・・・
外国産の農畜産物は値ごろ感のある存在から、いつしか価格破壊の請負人になっていた。そして今や低価格にはなくてはならない地位を確立してしまった。日本は逃げられなくなってしまったのだ。
そんなある日、スポンジ頭病の仲間がいるビーフ君が来日し、本場中国手作りの餃子には隠し味で毒が入れられてきました。うなぎは毒水の中で病気知らずで大きくなり、来日した途端に国籍を詐称して全国に散っていきました。お国が輸入した大変貴重なお米は毒コーティングで少しカビも吹いちゃったけど、安くて貴重なので良い子のみなさんに食べさせてあげましたとさ。ってな具合だ。
外国産で国内の不足分を補いましょうじゃないんだもん。概ね根本がとにかく安い!!ってとこに重きを置いた弊害でしょ。
俺たち間違えなく20年はこんな世の中で食い物口に運んで来たよなぁ
残留農薬やカビや得体の知れない病気で身体壊したことなんか無いからOKなのか?
バリバリ添加物使ってますって裏に書いてある商品はいいのか?
いくら厚労省が認可したからといって、そんなもんばかり食ってたら身体への影響はppmレベルで検出するメタミドホスに勝るとも劣らないんじゃないか?
食全体が懐疑心渦巻く状況だ。それでも・・・
安けりゃ売れるのか?
何を売るんだ?
安さ?添加物の味?パッケージ?話題?その場の勢い?
結局値段なのか?
どんなに自分たちが信じる道が正しくても、訳ありの安くて美味いが勝るのか?
紙っぺら1枚の原料証明書で何を保証できる?
経営者たるものそんなキレイごと言ってちゃ笑われるのか?
やっぱり、『激安!!訳あり玉ねぎ10キロ98円』とかやっちゃう?
いえいえ、せっかく走り始めたんだからやっていこうよ。
所詮でかく儲けようと思ったらいろんな『訳』が必要だし、その『訳』を探すより賛同してくれる生産者を探そうよ。きっと俺たちが考えてることが実益となって物語の役者達に返ってくる日がきますよ。
ああ、そういえば
ゆきちゃん明日がんも用信州産きのこお願いね。
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